GPニュース Vol.2 (2008年7月1日発行)

まえがき

GPニュースVol.2では、4月から始まったコーヒータイムについて詳しく説明します。また、研究会や講義についての報告や感想を述べる欄を新たに加えました。読者の皆さんの応募を歓迎します!

特集:コーヒータイム

異分野交流、上下のつながりを深めることを目標に、「コーヒータイム」を始めました。毎週下記の時間・場所にて、コーヒー・紅茶・日本茶を用意しています。研究室間や先輩後輩との間のより深い交流が生まれるきっかけになればと考えています。

とき 毎週水曜12:00~13:00 (お弁当持ち込み可)
場所 数学科資料室 (第二校舎6号館6階 6607)

前期のコーヒータイムは7月16日(水)まで開催します。また、後期は10月第1週からの開始を予定しています。後期に関しては、日程や時間の希望も8月末まで受け付けています

今後も様々なイベントを企画していく予定です。「こんなイベントをやって欲しい」とか、「今回の企画はどうだったか」など、皆さんの意見、感想、要望を随時受け付けています。ポスドクまでご連絡ください。

ここでは、過去に行ったイベントについて少し説明します。


海外ポスドクによる故郷紹介

明治大学数学科には、現在2名の海外ポスドクがいます。彼らは毎週コーヒータイムにも参加し、いつも話の中心に加わってくれています。昼食の時間であることも手伝い、食に関する話題、特に日本と海外の食の違いや好き・嫌いな日本食についての話が多いようです。もちろん、彼らとの会話は全て英語ですし、聞き取りやすく話してくれるので、英語の練習にもなります。

彼らに自分たちの故郷や自分自身の紹介をしてもらうことによって、より深い交流のきっかけを作れればと考え、5月21日のコーヒータイムで彼らに自己紹介をしてもらうことにしました。

まず、オーストラリア出身のThomas R. Mollee氏の紹介が行われました。彼は、Google Earthを使いながら、自分の住んでいたところや通っていた学校などを順次指し示し、その周辺の話やそこでの思い出話などを話してくれました。ところどころ写真も織り交ぜながらの非常に臨場感のある発表で、オーストラリアへの興味を抱かせるいい内容だったと感じています。

次に、台湾のLi-Chang Hung氏の紹介が行われました。彼はPDFのシートによる発表で、彼自身が興味を持っている「数学」「野球」「推理小説」の3つについて述べるというものでした。「数学」と「野球」の両方に関わる事柄、「数学」と「推理小説」の両方に関わる事柄、「野球」と「推理小説」の両方に関わる事柄の紹介といったかなりユニークな話が中心で、故郷である台湾の話も交えながらの楽しい発表でした。

研究室紹介

明治大学数学科にはどんな研究室があり、それぞれがどのような研究活動を行っているのでしょうか。それぞれが独立して活動していることが多く、特に分野が違えばそういったことを知らないというのが現状ではないかと感じていました。そこで、このコーヒータイム開設の目的のひとつである「異分野との交流」の第一歩として、実際に研究室に所属している学生の皆さんに自分たちの研究室を紹介してもらおうと考え、「研究室紹介」を企画しました。

明治大学数学科の学生は、3年次後期から研究室に配属され、「ゼミナールB」という科目名で、より専門的な勉強を開始します。7月初め頃には希望研究室の調査が行われるため、6月に「研究室紹介」を行えば、3年生の研究室決定の参考にもなるのではと考え、早期に行うことになりました。また、1年生や2年生に対しても、将来自分たちがどのような勉強・研究を行うかの参考にもなることを期待しています。

明治大学数学科では、まず学生は希望する系を選び、その後配属された系の中から実際に配属する研究室を選択します。設置されている系は次の通りです。

代数系後藤研究室藏野研究室中村研究室
幾何系砂田研究室佐藤研究室阿原研究室
解析系森本研究室廣瀬研究室 
現象数理系三村研究室桂田研究室上山研究室
確率・統計系岡部研究室対馬研究室 
今年度は、砂田先生が在外研究で不在のため砂田研究室のゼミナールBは開講されません。

5月28日に第一回目として藏野研究室の紹介が行われました。藏野研究室の所属メンバーを写真を出しながら紹介し、それぞれが勉強している内容をテキストを提示しながら説明してくれました。6月4日には阿原研究室の紹介が行われ、使用しているテキストの紹介や、独自に作成したプログラムを使ったグラフィックの紹介など、面白い紹介が続きました。6月11日は現象数理系の紹介ということで、上山先生から現象数理系の所属メンバーの紹介や、過去に行われた卒業研究や修士論文のタイトルの紹介があり、その後学生から実際に行っている研究に関するプレゼンが行われました。6月25日には、代数系紹介として所属メンバーの紹介・勉強内容・過去の実績などについて紹介されました。ゼミ配属前の学生だけでなく、4月から異動してきた人間にとってもとても参考になる内容でした。

尚、参加できなかった方々のために、紹介内容をポスターにして第二校舎6号館6階の廊下(エレベーターから数学科資料室までの途中の壁)に貼る予定です。また、次のGPニュースでも掲載を予定しており、実際の紹介風景を動画で配信することも考えています。

今後の予定は、以下の通りです。

7月2日解析系
7月9日確率・統計系

どのような研究がなされているのかを知るよい機会ですので、皆さんぜひ参加しましょう。

連載

コーヒータイムでの出来事

5月28日より、教員および所属学生による研究室紹介が始まりました。先生方には所属学生の数や研究室やそれぞれの系で勉強できる内容、例えば今までの卒業研究のタイトルなどを紹介していただき、学生の方には現在自分たちが実際にどんな勉強をどんなスタイルで行い、どのような指導を受けているかといったことを話していただきました。

コーヒータイムの今後の予定(変更の可能性あり)

7月2日
研究室紹介(解析系)
7月9日
研究室紹介(確率統計系)
7月16日
未定
前期のコーヒータイムは7月16日までです。

講演会報告

1. 理工学研究科総合講義C

第5回「暗号理論への招待」 (6月12日)
講演者:有田 正剛氏 (情報セキュリティ大学院大学情報セキュリティ研究科)

以前、暗号の本を少し読みかじったりしていたので、話をすんなり受け入れることができ楽しめました。

話のメインは、少ないbit数の乱数から長いbit数の乱数を作り出す、疑似乱数生成器に関するもの。有田先生ご本人もおっしゃってましたが、暗号理論というとどうしても実際に暗号・復元を行う手法を考えているような感じがしてしまうけれど、そうでない部分も暗号理論の対象として重要であって、数学的な捉え方が使われているということを再認識しました。

RSAが疑似乱数生成器(というよりも一方向ハッシュ関数)でも使われていることを認識していなくて少し驚きでした。

安全性が(RSA仮定の下では)確認できている、という数学的な考え方が使われている部分は、処理が遅すぎて実用的ではなく、安全性が経験的にだけ確認されているような高速な処理が実際に使われているというのは、大体認識していたことではあるけど少々残念な感じは否めません。

最後にはくだらない質問にも真剣にお答えいただき、聞いたときの意図よりも深い回答が得られるなど、非常に有意義な時間だった。

松岡直之

第6回「生物系と自己組織化」 (6月26日)
講演者:三村 昌泰 氏(明治大学大学院理工学部数学科・教授)

今日の総合講義において、バクテリアが作るコロニーの形がとても印象的でした。最初にバクテリアの拡大写真を見たとき、なんて気持ち悪い恰好をしているのだろうと思いました。しかし、養分を得て増殖していくバクテリアの様子を見たとき、あまりの綺麗さに鳥肌が立つくらいぞわぞわしました。フラクタルにしようと意識的に行われているわけでもなければ、人間の手が加えられているわけでもない…どうしてこんなに綺麗なフラクタルが出来上がるのだろうと私も神秘的だと感じました。コロニーやフラクタルという言葉を今までは漠然としかとらえられていませんでしたが、今日の講義で色々とイメージすることが出来ました。これからも積極的に色々な講義に出席し、自分の知らない世界にたくさんふれていきたいです。

学部4年・島袋清子

本日の総合講義では当科目のオーガナイザーである三村先生自身による講義が行われた。今回は生命現象、特にバクテリアとアメーバの2種類の生物に関するパターンの形成について、数学モデルを用いてそのメカニズムを解明するというものである。

一つ目のトピックはバクテリアコロニーに関する話題である。
枯草菌と呼ばれる種をシャーレ内において栄養分を溶かした寒天上で培養すると、寒天濃度と養分濃度の状態に応じて様々なパターンのコロニーを形成することが知られている。これら2つのパラメータは枯草菌のシャーレ内の生息環境の良し悪しを与えていると考えられるが、今回はこれらがともに小さい、すなわち環境が悪い場合に焦点を絞り、このとき形成される枝状パターンのコロニーについて離散確率モデルをベースにそのメカニズムを議論した。

二つ目はある種のアメーバの自己組織化に関する話題である。
生物の運動や細胞分化の研究対象としてしばしば用いられるホコリカビという種は、いくつもの異なるステージからなる成長・繁殖プロセスを持つ。栄養分が十分ある環境下では各個体ごとに成長・細胞分裂を行っているが、栄養分不足に伴う環境悪化により、次世代の繁殖へ向けて集合体を形成し胞子の放出準備に移行する。講義では集合体形成の初期ステージに焦点を当てこのとき観察される生物の運動や細胞分化の研究対象としてしばしば用いられるホコリカビという種は、いくつもの異なるステージからなる成長・繁殖プロセスを持つ。栄養分が十分ある環境下では各個体ごとに成長・細胞分裂を行っているが、栄養分不足に伴う環境悪化により、次世代の繁殖へ向けて集合体を形成し胞子の放出準備に移行する。講義では集合体形成の初期ステージに焦点を当てこのとき観察される

1.スパイラル状の集合形態、
2.時間経過によるその崩壊、
さらに
3.ストリーム状の集合形態への移行、
という複雑なパターンの形成及びその遷移プロセスについて, 非線形反応拡散系モデルを用いてそのメカニズムを解明した。

これら両方に共通して現れる自己組織化の問題に対して、従来の生物学においては、細胞は環境状況の変化に応じて適切な生存戦略を持っている、という考えが支持されてきた。簡単に言えば細胞はわれわれが考える以上に賢い、ということである。しかしながら少なくともこれらの問題に関しては、その本質は生存戦略の有無ではなく、よりシンプルな原理に基づいている、というのが三村先生の主張である。実はバクテリアの枝状パターンは養分の拡散という非生物的なメカニズム、アメーバの自己組織化は走化性と呼ばれるアメーバの特性によって、それぞれ説明が可能であるというものである。講義における主題である数学モデルによる各現象へのアプローチ、すなわち現象数理学の手法はこれらの説を強くサポートするものである。

総評としては、目的意識や主張が明確かつ一貫しており、初学者にとっても概要をつかみやすい、非常に面白い講義だったのではないかと思う。私は普段より現象数理グループの一員として三村先生にお世話になっているが、三村先生がどのような考えの下で研究をされてきたか短時間のうちに、再確認できる非常によい機会でもあった。

最後に、感想と言いつつもほとんどが講義の概要紹介となっていまった。私としてはまだいろいろ講義を通しての感想として考えたいことがたくさんあるのでだが、長くなり考えが短時間内にまとまらないであろうこと、及び個人的スケジュールの都合を考慮して今回はこの辺で文を終えたいと思う。

若狭 徹

2. 龍谷大学のワークショップ "Recent Progress on Pattern Formation and Dynamics In Mathematical Sciences"

From June 12 to 14 Ryukoku University (in Seta) was host to a workshop on pattern formation and dynamics. I must say that the Seta campus is remarkably beautiful and peaceful, with very friendly and helpful professors and students, which makes it an ideal place for workshops, seminars and conferences. The workshop had many interesting talks (all in English) given by both international speakers from France, the United States and Taiwan, and prominent Japanese speakers. A number of the international talks focused on modeling the structure of liquid crystals by variational models, and there were also talks on recent progress in the study of traveling waves in reaction-diffusion systems. The workshop also had a wonderful banquet on the Friday night with superb food and conversation. In short, I had a very good time and learnt many interesting things at the workshop.

Tom Mollee

3. Li-Chang Hung 氏による連続レクチャー

第2回 (6月17日)
講演者 : Li-Chang Hung 氏 (明治大学招聘研究員,国立台湾大学)

6/17(火)(3限、A202にて)に明治大学招聘研究員である台湾大学のLi-Chang Hung氏による"Adventures in the Study of Exact Travering Wave Solutions for PDEs through Mathematica"についての連続レクチャーの第2回目が行われた。Mathematica の簡単な使い方から、それを用いた高度な数学までをテーマに、合計5回の英語によるレクチャーで行われる。今回のレクチャーでは、Hung 氏がMathematica の基本について丁寧に解説し、受講者はそれぞれが実習をしながら講義を進めるという方針で行われた。講義の途中で分からない事は気軽に質問し、Mathematica とC言語等を用いたプログラミングとの違いについての議論も行われた。また、Help を用いた検索法の実演もあり、すぐに使える情報が多いのが特徴である。Hung 氏は、今までに、Mathematica を用いて複雑な微分方程式の様々な厳密解を求めてきている。今後、Hung 氏の高度な Mathematica 技術に少しずつ近づいていくのが楽しみである。

Adventures in the study of Exact Traveling Wave Solutions for Some PDEs through Mathematica次回以降の講義は次の通りです。
第4回 2008年7月29日(火) 13:00-14:30 (A202)
第5回 2008年8月 5日(火) 13:00-14:30 (A202)
詳細は、こちらの案内ページを参照してください。 英語に慣れる良い機会なので、積極的に参加してみましょう!

谷口由紀


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原稿募集のお知らせ

「講演会報告」では、出席者のみなさまの感想文を募集しています。数学科学生のみなさんは、SNS内で投稿していただければ、掲載可否の確認後、可能であれば転載させていただければと考えています。

GPに関係する講演会に限らず、研究集会に出席した際の感想なども募集しています。難しく考えず、1行や2行の感想でも大歓迎です。みなさんの投稿をSNSの日記またはメール(gppd [at] math.meiji.ac.jp ( [at] は@と置き換えてください))にてお待ちしています。

編集後記

早いもので、コーヒータイムを始めてから2ヶ月が経過しました。お昼休みという忙しい時間に行っていることもあり、参加しにくいということもあるかもしれませんが、それでも椅子の数が足りない程賑わうこともありました。 顔を合わせることが多いと、自然に名前を覚え、廊下や学食等で挨拶をしたり会話を交わしたりするようになります。そこから新たな道が開かれることを期待し、コーヒータイムがそういったことのきっかけの場にがなれば嬉しいと考えています。

このニュースに対するご意見・ご要望等ありましたら、gppd [at] math.meiji.ac.jp([at] は@に置き換えてください)宛のメールまたはSNS内「GPホームページ品質向上委員会」コミュニティへの投稿にてお寄せください。

GPニュース編集委員:谷口由紀
松岡直之
吉田尚彦

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